オフィスを移したら、会社は本店移転登記が必要です。手続きは「移転先が同じ法務局の管轄か、別の管轄か」で大きく変わります。この記事は、自分で申請するための提出書類チェックリストを、ケース別に過不足なくまとめました。
最初の分岐:定款を変える必要があるか
定款には本店所在地が「最小行政区画(市区町村)」まで書かれているのが一般的です。ここを基準に手続きが分かれます。
- 同じ市区町村内の移転:定款の記載は変わらない。株主総会は不要。取締役会(または取締役の決定)で新しい所在場所と移転日を決めれば登記できる。
- 市区町村をまたぐ移転:定款記載の本店所在地が変わるため、株主総会の特別決議で定款変更が必要。そのうえで具体的所在場所を決定して登記。
もう一つの分岐:管轄が変わるか
移転先が今と同じ法務局の管轄か、別の管轄かで、登録免許税と申請の出し方が変わります。
| 区分 | 登録免許税 | 申請 |
|---|---|---|
| 同一管轄内 | 30,000円 | 1件 |
| 管轄外 | 60,000円(旧3万+新3万) | 旧本店所在地を経由して新所在地分もまとめて |
移転日から2週間以内に登記する点は、いずれのケースも共通です(会社法915条1項)。管轄をまたぐ移転は書類と納税が増えるため、管轄外への本店移転はこちらから進めると手順を取り違えません。
提出書類チェックリスト
共通(すべてのケース)
- ☐ 本店移転 登記申請書
- ☐ 取締役会議事録(取締役会設置会社)または取締役の決定書(非設置会社)=具体的所在場所と移転日を決定
- ☐ 登録免許税分の収入印紙または電子納付の控え
市区町村をまたぐ場合に追加
- ☐ 株主総会議事録(定款変更の特別決議)
管轄外へ移す場合に追加で確認
- ☐ 新本店所在地用の会社実印の準備(必要に応じ印鑑届)
- ☐ 旧所在地経由でまとめて申請する段取り
自分で進める手順
- 移転先の住所を確定し、管轄と定款変更の要否を判定。
- 必要なら株主総会で定款変更を決議。取締役会/取締役の決定で所在場所と移転日を決める。
- 議事録・申請書を作成。
- 管轄(管轄外なら旧所在地)の法務局へ提出し、登録免許税を納付。
- 完了後、登記事項証明書で新本店を確認。関係先(税務署・年金事務所・取引先等)へ住所変更を通知。
よくある質問
同じビル内・隣の番地への移転でも登記は必要ですか?
必要です。所在場所が変われば本店移転登記の対象です。市区町村が同じなら定款変更は不要なことが多いです。
登記のあとに必要な手続きは?
税務署・都道府県/市区町村・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークなどへの異動届、銀行や取引先への通知が続きます。